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ジュピラー・プロ・リーグに日本人19名|ベルギーが欧州進出の最前線になった理由

2025-26シーズン、football-jpが追跡する日本人海外組68名のうち、最多の19名が在籍するリーグはプレミアリーグでもブンデスリーガでもなく、ベルギー1部のジュピラー・プロ・リーグだ。この数字の背景には、三笘薫・冨安健洋・上田綺世らが実証した「ベルギー経由で欧州主要リーグへ」という確立されたルートがある。

リーグ別在籍数ランキング|ベルギーが首位の理由

football-jpが集計した2025-26シーズンのリーグ別在籍数(2026年5月時点)は以下の通り。

  • 1位:ジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー)19名
  • 2位:ブンデスリーガ(ドイツ)17名
  • 3位(同率):チャンピオンシップ(イングランド2部)9名
  • 3位(同率):エールディビジ(オランダ)9名
  • 5位:プレミアリーグ(イングランド)5名
  • 6位(同率):プリメイラ・リーガ(ポルトガル)2名、ラ・リーガ(スペイン)2名、リーグ・アン(フランス)2名
  • 10位:セリエA(イタリア)1名

プレミアリーグの5名という数字は「日本人にとってプレミアが遠い」ことを示すのではなく、入門の狭さを示している。三笘薫・遠藤航レベルの実力が求められる最高峰のリーグで主力を張れる選手の絶対数が限られるのは当然であり、むしろ5名いることが水準の証明となっている。

なぜジュピラー・プロ・リーグに日本人が集まるのか

ベルギーへの集中には構造的な理由がある。第一に、移籍コストの低さだ。英国やドイツのトップクラブと比較して移籍金・給与水準が現実的で、Jリーグからの直接移籍を成立させやすい。第二に、出場機会を得やすい環境。欧州主要リーグと比較して競争激度が低めで、若い日本人選手が即スタメン入りできる確率が高い。

第三の要因は、スカウトネットワークの確立だ。エージェントやクラブ間のパイプがJリーグとベルギーリーグの間で太くなっており、選手の試合情報が欧州の目利きに届きやすい状態が続いている。三笘薫の成功が「ベルギーから上位リーグへ行ける」という証明となり、その成功事例が次の選手の決断を後押ししている。

ベルギーリーグのリーグレベルはFIFA・UEFAランキングで欧州7〜10位圏。CLに安定して出場するクラブ(クラブ・ブルージュなど)が存在するため、「中堅リーグ=低水準」ではなく「高い強度の中で実績を積める場」として機能している。

シント=トロイデンに7名|1クラブ集中の構造

2025-26シーズン、ジュピラー・プロ・リーグの19名のうち7名がシント=トロイデン(STVV)に在籍している。かつて日本人投資家グループが経営に参加した経緯から、Jリーグクラブとのネットワークや日本語サポートスタッフの整備などが文化として定着している(現在は経営グループが変わっているが、受け入れ体制は継続)。

「初めての欧州移籍」に伴う言語的・文化的障壁が低いという点は、若い選手の意思決定を後押しする大きな要因となっている。日本人選手が複数在籍することで生まれる精神的なサポートも、クラブとしての魅力の一部になっている。

ベルギー経由で欧州主要リーグへ進んだ3選手のキャリア

ベルギーが「欧州への踏み台」として機能してきたことは、以下3名のキャリアが明確に示している。

  • 三笘薫:川崎フロンターレ → シント=トロイデン(2021-22レンタル)→ ブライトン(プレミアリーグ)。ベルギーの1シーズンで圧倒的な数字を残し、プレミアリーグへの完全移籍を勝ち取った。現在はプレミアリーグ「月間最優秀ゴール」3回受賞の実績を持つ。
  • 冨安健洋:アビスパ福岡 → シント=トロイデン(2018-19)→ ボローニャ(セリエA)→ アーセナル → アヤックス。20歳でベルギーに渡り、1シーズンでセリエAへの移籍を実現。CB・SB両対応という柔軟性が欧州クラブに評価された。
  • 上田綺世:鹿島アントラーズ → セルクル・ブルージュ(ベルギー、25試合13G)→ フェイエノールト(エールディビジ)。ベルギーでの得点実績が直接フェイエノールト移籍の扉を開き、今シーズンは25Gを記録している。

3人に共通するのは「ベルギーで本物の実績を積んだ」という点だ。通過点として流すのではなく、そこで圧倒的な数字を残したことが次のステージへの評価を生んでいる。

2025-26シーズン在籍の注目選手

現在ジュピラー・プロ・リーグに在籍する選手の中から、football-jpが注目する5名を取り上げる。

  • 伊東純也(ヘンク):背番号10。スピードとドリブルで左サイドを制圧し、チームの主軸として信頼を確立している。
  • 谷口彰悟(シント=トロイデン):対人守備の安定感と守備組織の統率力が評価されるベテランCB。30代に入っても欧州の基準で主力を張っている。
  • 橋岡大樹(ヘント):右SBとして攻守両面で存在感を示す。ヘントは上位クラブとの接戦でも安定した守備を維持しており、橋岡の貢献度は高い。
  • 伊藤敦樹(ヘント):中盤でのボール奪取とゲームメイクを担い、ヘントの中心に近い役割を持つ。球際の強度と守備の予測力が評価されている。
  • 明本考浩(OHルーヴェン):FWからサイドハーフまでこなせるユーティリティ性と、ベルギーリーグの強度に適応した安定したパフォーマンスが特徴。

ジュピラー・プロ・リーグの日本人選手全員の成績はこちらで確認できる。

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